
業務用途ほど写真のデジタル化は早かった。
印刷業界しかり、保険会社しかり、建築土木関係も大半がデジタルに移行した。
こうしたなかで、ブライダルフォトは最後までアナログが残った数少ない分野だ。
なぜ最後になったのかは、諸説あって明快な答えはないが、デジタルデータに対する不安感が関係していることは確かである。
デジタルデザインの写真集が大きな収益源となったことで、背中を押されるようにデジタル化が進んだのは、まだ最近のことである。
式場・ホテルの写真室では、いまでもフィルムによる撮影が主流となっている。
したがって、結婚式の撮影にフィルムを使っても、業界関係者から白い目で見られることは今のところない。
問題は、若いカップルがどう思うかだけである。
写真の上級者を自負する以上、そこそこのキャリアがあると推察する。
撮影機材もアナログ式のほうが充実しているかもしれない。
アナログのほうが使い慣れているのであれば、フィルムで撮影することを推奨する。
失敗しないことが大前提だからである。
  フィルムはネガを使う。
風景写真を得意とするアドアマは、リバーサルを使いたがるが、不適合である。
スナップ写真には不向きで、なおかつ後の焼増しが高くつく。
一般的なのはISO400のネガだが、デジタルカメラの高感度化が進んでいるので、対抗上ISO800を推奨したい。
現在、ネガはISO1600も市販されている。ご承知のとおり高感度になるほど粒状性は悪くなる。
室内以外での撮影もあるだろうから、メインはISO800にしたほうが無難だ。
カメラ2台で撮影するなら用意しておく意味はある。
もうひとつの選択肢は、FUJIFILMのPRO400である。
ダイナミックレンジが広いので、ウェディングドレスや白無垢が白トビしにくい。
肌の描写もしっとりあがり、女性ポートレートに向いている。
デジタルでは表現できない描写を狙うなら、ぜひ推奨したいフィルムだ。
欠点は、描写が軟らかい分メリハリに欠けるので、スナップ写真に向かないことだ。
カメラ2台なら、ISO800とPRO400の併用がブライダル向きの組み合わせといえよう。
デジタルカメラの高画素化と高性能化で、フィルムの有利性は希薄になってきた。 フィルムの利点は、ダイナミックレンジが広いこと、 超高画質(すなわち大サイズ)が安価で手に入ること、この2つに限定されつつある。
一方デジタルは、感度変更がいつでも可能で、色温度変換に補正フィルターを使わなくてもよいなど、
室内撮影に適した特長を備えている。式場・披露宴会場など室内撮影が多いブライダルでは、デジタルカメラのほうが有利である。
デジタル一眼レフを既に所持していて、使い慣れている場合は、フィルムを使う意味合いは薄い。
よほど初期の画素数の低い機種でなければ問題はない。
注意する点は、スペアの電池とメディアを用意しておくこと。
上級者といえどもデジタル一眼レフを2台所持しているひとは少ないだろう。
万一に備えて、アナログでよいからスペアのカメラも用意しておくべきだ。
デジタルで撮影した場合は、依頼者に渡すのはCD−Rなどのデジタルメディアになる。
では、フィルムの場合はフィルムをそのまま渡せばよいのか? 答えはノーである。
確かにフィルムのままでも焼増しはできる。
だが、アナタが撮った写真をインターネットで誰かに送ったり、ポストカードに利用したりするときに、相手が困ることになる。
ちょっと前なら「大事な写真はフィルムで・・」というセリフは通用したが、もうそんな時代ではない。
いまならまだ焼増しはできるが、何年か先には途方に暮れることになるかもしれない。
フィルムで撮影した場合は、現像を依頼するときに「同時プリント」と「CD−R同時書込み」を一緒に依頼する。
プリントするときに補正した画像データが、そのままCD−Rにも記録される。これが一番早くて安上がりの方法だ。
同時書込みのCD−Rの画像は、L判程度の画質しかないので、フィルム原板も一緒に渡す。
でないと、大伸ばしができないからである。