※執筆時点ではアナログ式もありましたが現在ではフィルムで撮ることは稀になりました
業務用途ほど写真のデジタル化は早かった。
印刷業界しかり、保険会社しかり、建築土木関係も早々にデジタルに移行した。
そんな中でブライダルフォトは最後までアナログが残っていた数少ない分野だ。
なぜ最後になったのかは、諸説あって明快な答えはないが、デジタルデータに対する不安感が関係していることは確かである。
それと花嫁のウェディングドレスはネガフィルムのほうが白トビしにくかった。最近のデジタルカメラはダイナミックレンジが広くなり、この問題は改善された。
デジタルデザインの写真集が大きな収益源となったことで、背中を押されるようにデジタル化が進んだのは、そんなに古い話ではない。
世の中すべてデジタル写真に移行した現在では、フィルムを使うメリットはほとんどなくなったと言っていいであろう。
一時エスカレートした画素数競争も落ち着き、近頃では画素数を抑えて高感度に強い機種が登場するなど、デジタルカメラの多様化が進んでいる。
4K テレビで約 800 万画素。デジタル写真集でも A4 サイズで 1,000 万画素もあれば十分だから、高画素よりも高感度を優先することを推奨したい。ブライダル行事の大半は室内で行われることを念頭に機種を選択しよう。
天井や壁にバウンスできる首振りタイプのストロボがあれば便利だが、なければその場の照明だけで撮ればよい。カメラ側でホワイトバランスが調整できるデジカメは、そのほうが自然に写る可能性が高い。
ここでも高感度に強いカメラが断然有利だ。
初期の手ブレ補正機能は「おまじない」に近いものだったが、最近ではシャッター速度で数段分も稼げる機種が登場している。縦横方向だけでなく前後のブレも補正してくれる機種もあるから驚きだ。
実際にはメーカーが謳うよりも使える幅は狭いようだが、それでも2〜3段遅いシャッター速度が選べるのはありがたい話だ。これに高感度が加われば鬼に金棒と言えよう。
ISO 感度をどこまで上げられるかは機種による。フィルム時代は ISO 400〜800 が主流だった。それでも苦しい場面が多かったから、ISO 1600 以上は必須であろう。もちろんどの機種でもこの程度の設定は可能だが、実用できる画質がどこまでかが問題だ。
ISO 3200 を超えるとフィルムでは得られなかった世界が広がる。ISO 6400 以上で実用できる画質が得られればかなり楽になるはずだ。