結婚式を上手に撮る秘訣

型物記念写真の撮り方

最後まで残るのは記念写真

最後に残るのは「記念写真」

スタジオとは一味違う写真を残そう

  写真師は長い年月をかけて、婚礼写真の「型」を作り上げてきた。 若い世代はカビ臭い写真として揶揄する傾向があるが、そのひとだっていつまでも若いわけではない。 何十年か先になって最後に残るのは、きちんと撮られた記念写真だ。

  いくら上級者のアナタでも業務用の大型ストロボは持っていないだろう。 プロの照明機材や背景装置なしでスタジオ写真は撮影できない。 ただし、プロの振り付けを真似ることは可能だ。 雰囲気のある背景を選んで、スタジオ写真とは一味違った記念写真に挑戦してみよう。

和装は二等辺三角形に

和装の基本は「二等辺三角形」

  和装での挙式は珍しくなった。和装をきちんと撮るには、そこそこの経験と知識が必要だ。 ここでは、カツラをつけた白無垢・打ち掛けの撮り方は割愛する。 最近流行の洋髪のまま着る「引き振袖」だけ、さわりの部分を解説しておこう。
  よく雑誌に載っている振袖の写真は、袖がだらーんとした状態で写してある。 こういう写真がトレンドだと思うのは誤解である。 「モデル仕立て」といってきちんとした仕立てをしてないので、袖を左右均等に振付けて撮ることができないのだ。 きものの型物写真で基本となるのは、二等辺三角形になるように振付けることだ。
  引き振袖は裾が引きずっているだけで、基本は同じである。 婚礼には懐刀・箱迫(はこせこ)・扇子などの小物が加わる。見本写真を見てもわからなければ、美容師さんに任せよう。
  和装の写真をカメラ側から見ると、斜め左向きに構えているポーズが多い。 これは着合わせの関係で、裾さばきがよく見える(というよりアラが見えない)からである。 右肩よりも左肩の柄が大きいことが多いので、向かって右を手前にしたいというのも関係している。
  新郎と一緒に撮影するときは、カメラ側から見て右側に花嫁を立たせる。 (地方によっては「養子さんは逆」というところもあるが・・・)

デジタルは白トビしやすい

ウェディングドレスは白トビに注意

  デジタルカメラはダイナミックレンジが狭いので、ウェディングドレスが白トビしやすい。 現在は真っ白な純白ドレスは少数派で、オフホワイトかアイボリーが主流になっているが、白系であることに変わりはない。 カメラ内蔵のモニタに白トビ警告が出たら露出を調整する。 ただし、あまり神経質になって補正しすぎると、顔が暗くなってしまうので、一部が白トビするのはやむをえない。
  写真館用のネガフィルムは、白のなかの白がきちんと描写でき、肌の色が黒く沈んでしまうこともなかったが、いまはほとんど使われなくなった。 記念写真にはなるべくダイナミックレンジの広いカメラを使いたい。

大きさを変えて撮る

ドレスの振り付けは比較的自由

  和装に比べて洋装ドレスの振り付けは制約が少ない。 伊達衿がどうの、帯揚げがどうのと、ウルサイことを言う年配者もいない。 和装に比べてドレスの歴史が日本は浅いので、型にとらわれずに撮影することができる。
  それでも押えておくポイントは、いくつかある。 新郎の手袋は、はめずに束ねて右手で持つ。新婦のグローブ(手袋)は、持たずにはめる。ブーケは、やや胸元に引き寄せる、等々。 新郎新婦の並び順は和装と同じだが、とくにこだわる必要はない。 窓からの光を利用して撮る場合は、新郎を窓側にした方が露出のバランスがとりやすい。 着ている服と顔の色が新婦よりも濃いからだ。

  二人の25年後をイメージする

  記念写真は、流行の写真集に使うカットとは趣きが異なる。 制約が少ないとはいっても、品良くまとめることが前提であることを忘れてはいけない。 結婚してから25年経つと「銀婚式」を迎える。次に有名な「金婚式」は50年後である。 (1年目からナントカ婚式と名前がついているそうだが、10年目が「錫婚式」だと知っているひとは少ない)
  シャッターを押すときには、25年後の二人の姿を想像するとよい。 そのときの写真と、結婚当時の写真を一緒に並べて、鑑賞に堪えるかどうかを考えよう。 記念写真は、タイムカプセルに収めるために撮影するのだから…